導入準備個人面談

個人面談を就業時間中に組む

休みの日に、興味のある人だけ予約を取る形にすると、必要な人ほど来ません。この制度の成功の肝は、面談の組み方にあります。

企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入する会社で、私たちは従業員の方全員と個人面談をします。説明会だけで終わらせません。

面談は、制度が始まる3か月前に行う従業員説明会のあとから始めます。制度が始まってからでは遅いからです。

この面談をいつ、どう組むか。制度がうまくいくかどうかは、ほぼここで決まります。

この記事で分かること

  1. 対象者全員と面談する。説明会だけ、または希望者だけ、という形にしない
  2. 就業時間中に、有給で受けられる仕組みにする。会議室かオンラインで連続4〜5人。可能なら半休を渡す
  3. 質問の受け口を、総務・人事に中継させない。従業員から直接こちらへ質問が来る形にする
目次
  1. 休みの日に、希望者だけ、にしない
  2. 組み方
  3. 面談で何をするか
  4. 全員と面談する会社は、多くありません
  5. 質問の受け口を、総務に中継させない
  6. よくある質問

休みの日に、希望者だけ、にしない

よくある形は、説明会のあとに「興味のある方は総務まで」と案内して、休みの日か終業後に予約を入れてもらうやり方です。

この形にすると、来るのはもともと資産形成に関心のある人だけになります。話を聞いてほしいのは、将来のお金の話を後回しにしている人のほうです。

面談に来なかった人は、そのまま買い付けをせず、掛金が眠ります。会社が払ったお金も、本人が拠出した分もです。どの商品も買っていない状態を未指図資産と呼びます。誰が未指図資産のままかは会社の画面で分かりますが、見ていなければ1年が過ぎます。

組み方

私たちが会社にお願いしている形です。

  1. 就業時間中に入れる

    有給で受けられる仕組みにしていただきます。業務として組み込むと、参加率の話がそもそも起きません。

  2. 会議室かオンラインで、連続4〜5人

    1日に何度も往復せず、まとめて時間を取ります。会社側の調整も1回で済みます。

  3. 可能なら半休を渡す

    面談の前後に、自分のことを考える時間ができます。ご家族と話してから来られる方もいます。

  4. 日程は説明会の場で決める

    あとから各自で申し込む形にすると、そこで人数が落ちます。説明会そのものの組み方は「社員説明会を『配って終わり』にしない設計」にまとめました。

ここには、会社の協力とある程度の強制力が必要です。面談を業務として扱うかどうかは、会社にしか決められません。

総務・三浦

就業時間中に全員というのは、現場から反発が出ませんか。1人1時間で、人数分だけ手が止まります。

以西 裕介

まとめて取っていただくと、会社の調整は1回で済みます。会議室かオンラインで、連続4〜5人です。

止まるのはその1回です。休みの日に希望者だけにすると、いま話を聞いてほしい人が来ません。掛金が眠ったまま1年が過ぎます。

面談で何をするか

1人あたり1時間ほどかけます。制度の説明を繰り返す時間にはしません。

話すこと中身
いくら拠出するか いまの手取りと生活から、無理のない金額を一緒に決めます
どう運用するか 商品の選び方を、その方の年齢と使う時期から考えます
その方の事情 住宅、教育資金、ご家族の状況。企業型DCの外側の話も含めて聞きます

企業型DCだけを見て決められることは、あまりありません。証券も保険も住宅も扱えるFPが面談に入るのは、そのためです。

全員と面談する会社は、多くありません

導入支援をしている先が、どこまでやるかは大きく違います。

支援している先面談の扱い
銀行などの金融機関 従業員説明会をして、資料を渡して終了。担当者も忙しく、全員に1時間を使う形にはなっていません
説明会+希望者だけFP面談 手を挙げた人だけ、提携先のFPが面談します
IFAと保険を兼ねている先 証券や保険を扱っていても、確定拠出年金そのものに詳しい先は多くありません

銀行を責めるつもりはありません。彼らの仕組みの中では、そうなります。構造の話として書いています。

編集部・大谷

全員と1時間ずつというのは、支援する側の手間も大きいですよね。

以西 裕介

大きいです。ただ、ここを削ると制度が動きません。説明会だけで全員が口座を開くなら、面談は要りません。実際には開かない人が出ます。

質問の受け口を、総務に中継させない

面談のあとも、質問は出続けます。ここで会社の負担が増える形にしません。

従業員からの質問を総務や人事が受けて、そこから私に投げる形にすると、担当者の仕事が一つ増えます。答えが返るまでの時間も伸びます。

従業員から直接こちらへ質問が来て、その場で答えられる仕組みにしています。総務・人事にお願いするのは、誰が止まっているかを出すことだけです。

よくある質問

面談で金融商品を売られませんか。

面談で決めるのは、拠出する金額と運用の方針です。まず、その方が制度を使える状態になることが目的です。そのうえで、住宅や教育資金など資産形成全体のご相談をいただくこともあります。

拠出したくないという人がいます。

選択制の場合、拠出しないという選択も成立します。面談は、その判断をご本人がするための時間です。何も分からないまま拠出しない、という状態を避けます。

面談は導入のときだけですか。

導入後も続きます。新入社員が入れば研修と面談を行い、掛金を変えたいという相談も受けます。

導入して1年目が一番手がかかります。1年経っても未指図資産のままだった社員が20人いた会社の話は、「導入して効果が出る会社と、出ない会社の違い」に書きました。

導入を考えている会社の方へ

企業型DCを入れるべきかどうか、費用はいくらか、自社で何人から始められるか。無料でご相談を承っています。

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ファイナンシャルプランナー 以西裕介

この記事を書いた人

以西 裕介いさい ゆうすけ

株式会社ソケットクリエイティブ 代表取締役/一般社団法人確定拠出年金推進協会 理事。
26歳で独立起業。創業間もなく社員の離職が相次ぎ、自社の経営難という苦い経験に直面する。以来、金融と人事の両面から中小企業を支援。企業型確定拠出年金の導入支援、職場の金融教育、チームビルディングを手がける。のべ面談 年間約500回。
2級FP技能士/DCプランナー/二種証券外務員。著書『社員が辞めない組織を作る3つの方法』