導入前費用

企業型DCの費用は結局いくらか

毎月およそ1万円で3,000万円。その仕組みを作って回し続けるための費用を、初期・月額・年額のまま並べます。

企業型確定拠出年金(企業型DC)の費用を調べると、「会社ごとに異なります」で終わっている記事が多いと思います。それでは検討できません。

私たちの料金を、初期・月額・年額のまま並べます。ただ、その前に書いておきたいことがあります。

この記事で分かること

  1. 企業型DCは福利厚生の制度。少ない掛金で大きな退職金を作る。毎月およそ1万円を30年で3,000万円。費用と効果だけで見ると、この大きさが落ちる
  2. 初期は導入コンサルティング25万円+従業員1名あたり5,000円が柱。10名で約35万円、60名で約68万円。2026年8月時点・税別
  3. 継続は10名で年約20万円、60名で年約77万円。同じ10名の会社で社会保険料が年50万円下がっている
目次
  1. この費用は、何を作るための費用か
  2. 料金表
  3. 出ていく費用と、下がる費用
  4. 費用が回収できない場合
  5. 会社にかかる手間
  6. よくある質問

この費用は、何を作るための費用か

企業型DCは福利厚生の制度です。少ない掛金で、大きな退職金を作る。そこがこの制度の芯にあります。

毎月およそ1万円を30年。それで3,000万円になります。

前提

MSCIコクサイ・インデックス(配当込み・円ベース)の過去30年の年率リターンは11%でした(出典:myINDEX・2026年7月末時点)。毎月10,700円を30年、月複利で計算し、手数料と税は考慮していません。この11%のうち年1.27%は円安による押し上げです。過去の実績にもとづく計算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

社員一人ひとりが、退職するときに3,000万円を持って出られる。それを作るための仕組みです。

この大きさを見ずに、目の前の費用と効果だけで判断すると、木を見て森を見ずになります。下に並べる金額は、その仕組みを作って回し続けるための費用として読んでください。

料金表

項目初期月額年額
導入コンサルティング 250,000円 5,000円/1社 50,000円
従業員1名あたり(口座開設を含む) 5,000円 1,063円〜 新入社員研修は無料
投資教育・社員説明会 50,000円 50,000円(継続教育・新入社員)
全員のNISA口座開設 無料 無料 無料

2026年8月時点・税別。運営管理機関の選択によって月額は変わります。

実際の会社の数字も出します。

業種・規模導入フィー(初期)ランニング(年)
飲食業 60名 約68万円 約77万円
矯正歯科 10名 約35万円 約20万円
社員4名(試算) 約32万円 約22.2万円

導入企業の実績。設計と拠出額で変わります。

人数が増えても、初期費用はそれほど変わりません。導入コンサルティングの25万円が固定で、そこに1名あたり5,000円が乗るためです。4名でも60名でも、初期は32万円から68万円の幅に収まっています。

編集部・大谷

人数が多い会社ほど高くなる、というイメージを持っていました。

以西 裕介

初期はほとんど変わりません。固定の25万円に、1名あたり5,000円が乗るだけです。4名の会社で約32万円、60名の会社で約68万円でした。

変わるのは月額のほうです。ここは1名あたりで積み上がるので、人数が増えれば毎月の額も増えます。

会社が従業員のために拠出する掛金は、この表とは別に出ていきます。推奨しているのは1名あたり月3,000円からです。

出ていく費用と、下がる費用

支払う側だけを見ても判断できないので、同じ会社の社会保険料と採用費を横に置きます。

飲食業 60名年額
ランニング+約77万円
社会保険料の減少−216万円
採用費の減少−68万円

初年度は導入フィーの約68万円が乗るので、支出は約145万円。減った分は284万円です。初年度から差し引き139万円のプラスで、2年目以降は差がさらに開きます。

矯正歯科10名の会社では、社会保険料が年50万円下がり、院長個人の税負担も年24万円ほど下がっています。ランニングは年約20万円です。

ただ、この表に出てくるのは1年ぶんの数字だけです。30年で3,000万円という話は、ここには出てきません。両方を見て判断してください。

費用が回収できない場合

数字が合わない会社もあります。選択制で拠出する人が少ないと、社会保険料は下がりません。費用だけが出ていきます。

拠出が伸びない原因は、料金でも制度設計でもないことがほとんどです。説明会をどう開いたか、面談を就業時間に入れたか、社長が何を話したか。分かれ目はそこです。

実際に、導入したのに1年経っても拠出が伸びていない会社があります。何が起きたかは「導入して効果が出る会社と、出ない会社の違い」に書きました。費用の見積もりを取る前に、そちらを読んでいただくほうがいいと思います。

会社にかかる手間

お金以外の負担も書いておきます。導入までに会社側で発生する事務作業は、5〜10時間ほどです。導入を決めてから制度が始まるまでは6か月です。その間、会社の手が要るのはこの時間だけです。

ご用意いただくのは、会社にすでにある書類です。新しく作っていただくものはありません。

総務・三浦

5〜10時間というのは、総務が動く時間ということでしょうか。

以西 裕介

そうです。書類を揃えていただく時間と、労使合意の段取りです。あとはこちらで進めます。

一番つまずくのは、従業員代表者を誰にするかです。ここは一緒に決めます。

  1. 会社の基本書類

    履歴事項全部証明書、印鑑証明書、代表者の免許証。

  2. 社会保険と決算の書類

    社会保険料の納入通知書または領収書、直近の決算書(貸借対照表・損益計算書)。

  3. 規程類

    就業規則、育児介護休業規程、退職金規定、給与規定。ひな形はこちらでWordファイルにしてお渡しします。

  4. 従業員代表者の情報

    労使合意に必要です。誰を代表とするかの決め方でつまずく会社が多いので、ここは一緒に進めます。

よくある質問

掛金は会社が全部負担しますか。

設計によります。会社が拠出する形、従業員が自分の給与から選んで拠出する選択制、その両方を組み合わせる形の3つがあります。どれを選ぶかで、会社の負担も社会保険料の下がり方も変わります。

途中でやめたくなったら、どうなりますか。

制度を廃止するには従業員の同意が必要です。積み立てた資産は本人のものとして、iDeCoなどへ移ります。詳しくは「会社を辞めたとき、企業型DCの資産はどうなるか」に書きました。

いま他社で導入していますが、支援だけ切り替えられますか。

できます。運営管理機関を変えずに、導入後の支援だけを引き受ける形も扱っています。導入したまま止まっている会社からのご相談が実際にあります。

導入を考えている会社の方へ

企業型DCを入れるべきかどうか、費用はいくらか、自社で何人から始められるか。無料でご相談を承っています。

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ファイナンシャルプランナー 以西裕介

この記事を書いた人

以西 裕介いさい ゆうすけ

株式会社ソケットクリエイティブ 代表取締役/一般社団法人確定拠出年金推進協会 理事。
26歳で独立起業。創業間もなく社員の離職が相次ぎ、自社の経営難という苦い経験に直面する。以来、金融と人事の両面から中小企業を支援。企業型確定拠出年金の導入支援、職場の金融教育、チームビルディングを手がける。のべ面談 年間約500回。
2級FP技能士/DCプランナー/二種証券外務員。著書『社員が辞めない組織を作る3つの方法』